44 :1 ◆Vlj2yBiNCk :2006/03/22(水) 18:18:22.98 ID:1X8Lh0Je0
『第三話 ショボンの場合 (9月28日)』

(´。・ω・。`) ・・・・・・・・ッヒグ・・・・
私は泣いていた。
小学生の時、高校生に絡まれボロボロになっても泣かなかったのに。
優しかった祖父母が亡くなったときも泣かなかったのに。
どんな時でも私は泣かなかった。泣いても何もおきないからだ。だから泣くより笑った方が良いと考えていたからだ。
でも今、私は泣いてしまった。泣かないことだけが自慢だったこの私が・・・


46 :1 ◆Vlj2yBiNCk :2006/03/22(水) 18:20:57.26 ID:1X8Lh0Je0
それほど彼女の死はショックだったんだと思う。
私にとってクーはかけがいのない存在だった。
だから私は人食い患者と化したクーに殺されようとした。
そうする事でクーと一体化しようと考えたからだ。
他の人間から考えたらそれは馬鹿馬鹿しい事かも知れないが、私にとっては普通なことであり決して狂気に触れたわけではない。
それに死ぬことは決して怖い事ではなかった。
彼女、クーの為なら死んでも良かった。
でも―


48 :1 ◆Vlj2yBiNCk :2006/03/22(水) 18:22:44.74 ID:1X8Lh0Je0
でも、気づいたら私はハンドガンでクーを撃っていた。
頭では死んでもいいと思っていたのに体は違っていたらしい。
最愛のクーを
私にとって生きるための糧だったクーを・・・
・・・私は自らの手でクーを殺めてしまったんだ。
・・・それから先は覚えていない・・・
気づいたら何処かのレストランにいた。


50 :1 ◆Vlj2yBiNCk :2006/03/22(水) 18:24:54.77 ID:1X8Lh0Je0
私は・・・私は・・・何という事をしてしまったんだろうか・・・
・・・時が経つに連れ冷静になってきた私はこれからの事を考えることにした。
クーを追うようにして自殺をするか。それともこのまま脱出するか・・・
私にとって、もはやその二つの選択はどうでも良かった。
私は、
私はクーを裏切ってしまったのだから・・・

51 :1 ◆Vlj2yBiNCk :2006/03/22(水) 18:25:23.64 ID:1X8Lh0Je0



そんな時だった。目の前に武装した人間が2人現れたのは。




52 :1 ◆Vlj2yBiNCk :2006/03/22(水) 18:28:23.72 ID:1X8Lh0Je0
(´。・ω・。`) ・・・・・あなたは誰ですか?
アンリの死で動転していた私はなげやりに言った。
( ,' 3 ) ・・・・・初めての生存者がお前みたいな奴だとな・・・ゾンビではなさそうだが死人の目をしているぞ?
ゾンビというのは人食い病の患者のことだろう。私はそんなことを考えながら言った。
(´。・ω・。`) 別にどうだっていいでしょう。どうせ私の事なんか誰も分からないんだから・・・
( ,' 3 ) ハハッその通りだな。・・・どうすジョルジュ?
男がジョルジュという奴に聞いた。
( ゚∀゚) ・・・こうでも一応仕事だからな。助けなきゃ任務達成は出来ないぞ?
( ,' 3 ) あぁ・・・さて、お前はどうする?ここで死ぬか生き残るか。二つに一つだ。最も俺達的には生き残って欲しいからな。

54 :1 ◆Vlj2yBiNCk :2006/03/22(水) 18:29:41.90 ID:1X8Lh0Je0

男はそう言って自分達のことを聞いてもいないのに話し始めた。
( ,' 3 ) ・・・・・だ。分かったか?お前が何をしようが勝手だがとりあえず生き残ることを望むよ。
・・・・・これは夢なのか?
この男達はいったい何なんだ?傭兵?・・・訳が分からない。
クーの死で混乱している私にとってこの話は少し突拍子の無い話であった。
( ,' 3 ) ・・・・・・・?
( ゚∀゚) ・・・どうやら少し混乱しているようだな・・・無理もないか。幾ら警官だからってこんな状況だからな・・・・しかたない。こいつが落ち着くまで少し休もうか。なぁ荒巻(荒巻スカルチノフの略)?

56 :1 ◆Vlj2yBiNCk :2006/03/22(水) 18:32:01.13 ID:1X8Lh0Je0
( ,' 3 ) あぁそうだな。俺も少しつかれた・・・
ジョルジュと荒巻と名乗る男達は勝手に決め、私の隣に座った。
( ゚∀゚) ・・・・・なぁ少し話でもしようか。黙ってちゃつまらないぞ。
ジョルジュが優しそうに言ったが私は無視をした。
( ,' 3 ) 何だ?シカトか?全くふざけやがって!・・・・・ところでジョルジュ、弾はあと幾つあるか?
( ゚∀゚) ハンドガンが40ほどでアサルトライフルもまだある。
( ,' 3 ) そうか・・・俺は少しやばい・・ハンドガン30のショットが12だ。
二人は今後の救出について話し合ってるらしく、この辺の建物のことをしきりに確認している。
全くのんきなもんだ。人がこんなに悩んでいるのに作戦など・・・・・どうせ無駄なんだ。皆死んでしまうさ。私もこの男達もみんな、みんな・・・

60 :1 ◆Vlj2yBiNCk :2006/03/22(水) 18:37:43.18 ID:1X8Lh0Je0
( ,' 3 ) ・・・・・お前本当に大丈夫か?
荒巻が聞いてきた。
(´。・ω・。`) ・・・大丈夫です・・・怪我はありません。だけど・・・だけど・・・!
クーの事を思い出してしまいまた涙が零れた。
( ,' 3 ) ・・・・・まぁ、何だその・・・ご愁傷様ってやつだ。気を落とすなよ。
荒巻は何となく事情が分かったらしく困った顔で励ましている。
(´。・ω・。`)良いんです・・・・・クーはもう戻ってこない・・・そう頭では分かっているのですが体が言うことを聞かないんです。
( ,' 3 ) ・・・・・・
( ゚∀゚) ・・・・・お前自殺しようと思っているだろう?

61 :1 ◆Vlj2yBiNCk :2006/03/22(水) 18:39:42.64 ID:1X8Lh0Je0
(´・ω・`) ・・・だったら何故?
( ゚∀゚) ・・・俺の勘だが、お前の彼女は最後までお前の事を思っていたと思うぞ。『私の分まで生きて』ってな。真実はどうか分からないが、自分のせいで愛する人が死ぬのは辛いと思うぞ。例え死人であっても。
(´・ω・`) ・・・・・・・
( ゚∀゚) 親友や仲間が死んだとき俺ならこう思う。こいつの分まで生きてやる!誰にも文句は言わせない!ってね。
( ゚∀゚) ・・・・・だから、だから簡単に死ぬことだけは止めてくれ。死んだ人の分も生きてくれ。
( ,' 3 )ジョルジュ、それは言い過ぎじゃないのか?こいつの人生はこいつで決める。死のうが何をしようがこいつの勝手だ。俺等がどうこう言う権利はないぜ。
( ゚∀゚) 分かっている・・・だが俺は『誰かが死んだから俺も死のう』なんて考えは嫌いだな。俺が言いたいのは・・・
ジョルジュは一呼吸おいて大きな声で私にいった。
( ゚∀゚) 俺が言いたいのは、死ぬ理由に人を使っちゃいけないということだ。分かるか?

62 :1 ◆Vlj2yBiNCk :2006/03/22(水) 18:40:54.58 ID:1X8Lh0Je0
・・・何故だかジョルジュが言っていることを頭の中でもう一度考え直すと自分のしていることが分からなくなってきた。
本当に私は死んで良いのか?
死ぬことがクー、嫌私にとって本当にいいことなのか?
分からない。
自分のしている事は本当に正しいことなのか?
本当にクーのためになるのか?
私が悩んでいると荒巻は呆れたように言った。
( ,' 3 )まぁそう混乱するなよ。こいつが言っていることは無視していいからよ。分かったか?・・・・・ええと名前はなんて言うんだっけ?
そう言えばまだ名前を言ってなかったな。
(´・ω・`)私の名前はショボン、ショボンと呼んでくだ・・・


「ガチャン!」

63 :1 ◆Vlj2yBiNCk :2006/03/22(水) 18:43:34.48 ID:1X8Lh0Je0

そう言うと同時に近くでガラスが割れる音がした。
(´・ω・`) ・・・・・!?
( ,' 3 ) ・・・・・ジョルジュ・・・
( ゚∀゚) あぁ・・・・ショボンさん戦闘準備をしといてください。ゾンビです。
(´・ω・`) ・・・・・はい。
私がハンドガンを右手に持とうとしてる間に2人何かを小声で話し合っていた。
(´・ω・`) ・・・・・できました。これでいつでもむかい討てます・・・
緊張した顔で私が言うと荒巻が厳しい顔で言った。
( ,' 3 ) ・・・・・ジョルジュと話し合ったんだが、お前は逃げろ。
(´・ω・`) ・・・え?
突然のことで私は一瞬惚けた顔になってしまった。
( ,' 3 ) ・・・・・お前は今さっきまで自殺をしようとした。結局のところ今も変わらないはずだ。そんな奴と一緒に戦ったところで足手まといなだけだ。
(´・ω・`) し、しかし私も戦わなければ・・・
( ,' 3 ) とりあえずお前はVIPビルまで行け。いずれ俺等も追いつく。それで良いだろ?一般人に助けられるほど俺達は落ちぶれてはないぜ。
格好良く言ったつもりだろうがゾンビがすぐそこまでせっまてる為、全然雰囲気が似合わなく私は少し笑ってしまった。
( ,' 3 ) ほら、お前だって笑えるんだ。死ぬことは無いぜ。
私はまだ何か言いたかったが2人の迫力に負けてしまって何も言えなかった。

64 :1 ◆Vlj2yBiNCk :2006/03/22(水) 18:46:32.31 ID:1X8Lh0Je0
(´・ω・`) ・・・・・
( ,' 3 ) 分かったなら早く行け。死ぬか死なないかは、この街を脱出してからにしろ!分かったな?
(´・ω・`) ・・・はい・・・お願いですから死なないでくださいね。
( ,' 3 ) 何頼りないことを言ってるんだ!俺達は死なない。お前こそ死ぬなよ!
そう言うと2人は部屋から出ていってしまった。
(´・ω・`) ・・・私は結局どうすればいいのだろうか・・・?
最後にそう呟きながら私は窓から外へ脱出した。


65 :1 ◆Vlj2yBiNCk :2006/03/22(水) 18:49:38.72 ID:1X8Lh0Je0
( ,' 3 )まったく、数が多いな・・・嫌になるぜ!
(;゚∀゚) そう愚痴るな。・・・とりあえずある程度威嚇した後に引き上げるぞ!
( ,' 3 )あぁ!ジョルジュ、死ぬなよ!
(;゚∀゚) 大丈夫さ。それよりあいつは大丈夫だろうか・・・?
( ,' 3 )人のことより自分のこと!来たぞ!
2人は数10体いるゾンビの波の中に消えていった。
その波の近くには恐ろしい化け物がいるのもしらずに・・・


69 :1 ◆Vlj2yBiNCk :2006/03/22(水) 18:54:00.70 ID:E5cjh78o0
・・・ところで『もし』という言葉は私はあまり使わない。
使ったところで現実は変わらないからだ。
しかし、『もし』あの時あの男達に出会わなければ私は一体どうしてただろうか?
・・・きっと無駄な死を選んだだろうな。

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